潜水日記

思考の記録です。

餃子定食

 手前にはパチンコ屋があり、奥にはカレー屋がある。二つのお店に挟まれたところ、少し道路から奥まった形でその中華料理屋はずっと前からあって、私は「ずっと前からある」という食べ物屋に一定の信頼を寄せている。

 ということで昼食はそこに飛び込んだ。

 思ったより店内が広くテーブル席が多い。写真や細長いお品書きがペタペタと壁に貼られていて、フロアはおばさんが一人で切り盛りしているようだ。厨房がどこにあるのか仕切りがあってよくわからない。

 店員さんはよく動いているのだけれど、どうもこちらの声が届かないらしく「すいませーーーーん」という私の声は店内に虚しく響いただけだった。空転する言葉に若干の気まずさをおぼえ、見かねたのか一人で定食を食べていたおばさんが「すいませーーーーん」と言ってくれた。あの人注文だってさ、と。

 餃子定食を頼んだ。410円+240円。240円つけると定食になるらしいのでお願いしたのだ。餃子は大好き。メニューを眺めながらよくわからなくなったら餃子を頼めばいい。お水に口をつけ、店内を眺めている。チェーン店もいいけど、個人商店の面白さはオーダーのシステムとか内装とかに絶対新鮮さがあるところだと思う。夫婦や母娘、新聞をテーブルに広げて読みふけるおじさんに定食を食べるおばさん。棚の高いところにはJINROの緑色のガラス瓶が並んでいて綺麗。今ではめったに見られない、番号をくるくる指で回してかけるタイプのピンクの電話機がレジ台にのっかっていて、肝心のレジはiPadなのだ。ああ面白い。

 ひとしきり店内を眺めた後(店内にはドリカムの『うれしい!たのしい!大好き!』が流れている)私は「お金のこと考えたくないなぁ~~~~」と口座に振り込まれた給料について考え、浅黒く日焼けした自分の腕の肌がぴちぴちしていることを確認する。一足飛びに人生を送ろうとしている気がして、どうどう落ち着き給え、とか思っているうちに餃子定食が来た。

 しっかりと揚げ焼かれた餃子は、カリッとモチッが同居していて、味は濃いめ、にんにくと生姜がたっぷりである。ご飯にお新香にお味噌汁。どうも定食のセットは和風であり(問題ない)なんと生卵までついている。卵かけごはんにしてどうぞ、ってことか。半分ほどご飯を食べたところで、醤油を垂らした生卵さらっとかき混ぜたものをご飯にかけて口にかきこむ。5年ぶりぐらいに食べた卵かけごはん。あまり得意な食べ物ではないけれど、たまにならいいでしょ。

 

 人を、物を、観察するのは嫌いなわけではないと思う。どこにも出かけなければ私の頭は半分死んだようなものであり、ちっとも面白くないことを思い知らされた三か月。状況は良くならないが、良くならないなりに生きていかねばならない。