ベランダの実験室

思考の記録です。

終点まであと9ページ(20181205)

ちらっと車窓の外を見る。今自分が乗っている電車がどこを走っているのか、その時だけ全神経を現在地の取得に捧ぐ。

つかの間計算したのち、私は1人声にならない声で呟く。「終点まで、あと9ページ」と。自分が降りる駅まで残りの駅数は1つ。私は読み切れるか、いや、読む。読みたい。すぐに視線を目の前の文字列に戻す。

夢中になれる本があるのは幸せなことだと思う。なかなか無いことなのだ。目の前の文字を読むことしかしたくない。そう思わせる本、集中できる本はさほど多くない。「残り9ページ」それは、時々出会える幸せそのもの。

私が努力するわけでもなく偶然手にする幸せは、操作することはできない(が工夫することで蓋然性は高められる。この場合は、お気に入りの作家さんの読んだことがない本を読むとか)。そういう自分で決定打を打つことはできないけど、やったね嬉しい、と思えることをどれだけ呼び込めるか工夫することも良いかなと思うし、無防備に真っ白な状態で出会ってしまった!!!というのも良い。

なんてとりとめもないことを考えていた。吊革に掴まってあっちへふらふらこっちへゆらゆら、昆布みたいに揺れているサラリーマンに体を当てられながら。