ベランダの実験室

思考の記録です。

バイクのおばさん(20181027)

私の目の前で、おばさんがバイクに乗ろうとしていた。

私は今日も働くために街を歩いていたわけで、朝だし寒いし何故自分がこの場にいるのかわからなくて惨めで、とにかくそういう時であった。

新聞配達、とはまた違うと思う。歩道にとめてきたバイク(もしかして原付か?)に鍵を入れてエンジンを動かそうとしていた。それ自体は、珍しい光景ではないと思うけれど、私は結局おばさんがバイクに乗り、車が行き交う車道に出て何処へともわからぬ目的地に向かっていく後ろ姿まで、見送ることとなった。

鍵を入れて回す。エンジンが鳴る。後ろについているスタンドを片脚を蹴り出して上げる。ハンドルを両手で握りしめ、重たい機体を歩道にゴロゴロ滑らせる。さっとバイクに飛び乗り、絶え間ない車の流れの一瞬の隙を見つけて車道にのる。

一連の流れに無駄がなく手馴れていて、つまりは美しかった。

そのあとは、私が美しいと思う所作について考えを巡らせながら歩いた。出来れば私の所作に美しい瞬間があればいいなと思った。