ベランダの実験室

思考の記録です。

私はこの檸檬を知らない

ドラマ「アンナチュラル」を見ている。

色々なものが良くできているドラマで毎週楽しみにしているのだけれど、素晴らしい点の1つに「主題歌の使い方」を挙げることができると思う。その話の、一番良いポイントで毎回主題歌が挟み込まれる。

物語が死者と対峙した瞬間に始まる法医学のドラマ。すべてのお話が「夢ならばどれほどよかったでしょう」であり、その当たり前を米津氏の声が視聴者に突きつけてくる。毎回主題歌が流れるたびに愕然とする。

サビらへんで私は毎回涙ぐんでしまうこの主題歌。リリースされたら絶対ダウンロードしようと思っていた(ああ、音楽はダウンロードするものなのです)。

 

リリースは3月だった気がするけれど、既にiTunesで公開されていたので一足早くダウンロードしてみた。

 

Lemon

Lemon

  • 米津玄師
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 私は、この檸檬の匂いを知らない、と思った。

¥250で手にしたのは別離の苦さであり永遠に手にできない幸せであり祈りの言葉だったし愛する人の空白だったし、私はその感情を知らない。わからない。

経験不足だ。そしてそんな経験をできればしたくない。でも、豊かな世界が広がっているような気がしてしまうから、やっぱり経験してみたい。そんな子どもみたいなことを考えている。

 

愛を歌う曲は苦手だ。昔から苦手だった。どう扱っていいかわからない。自分の経験と関連付けて、具体的な風景を立ち上げることができない。感情移入できないわけではないけれど、どうしてもよそよそしさを感じてしまう。薄い膜を一枚隔ててしまっているような。

この感覚に襲われた時、私はもう生きていけないなと思ってしまう。これからどれだけの年数生きなければいけないか考えて眩暈がする。長く生きる保証などどこにもないというのに。そして、私は一方で確かに生きたいとも願っている。生きたいと願っているからこそ、「檸檬の匂い」を知らないことが怖いのだ。知らないまま生きるのが、怖い。

檸檬の匂い」は、つまり愛なのかな。

 

米津さんの「Lemon」は素敵な曲です。

間奏とか、昔の米津さんの曲っぽさがあって好き。この人の言葉をどんどん吸収したい(なんか教祖様に対する信仰心っぽさだけど、米津さんの作った歌詞の言葉を身体に溜めこみたいという意味で)。