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ベランダの実験室

思考の記録です。

散歩と焼き肉

 散歩

 買わなくてはいけないものがあったので、今日は散歩がてら買い物をしてきた。買うものがある場所それぞれが点だとすると、点と点をつなぐ形で今日はよく歩いた。点から点へ歩きながら私はお日様の光を感じる。相変わらず寒いけれど陽の光は温かい。春はいずれやってくるのだろうなぁ、と思うお日柄だった。

 

 紙袋を片手で持ち、前へ後ろへ腕をゆらゆらしながら一人歩く。

 ふと思う。一人って楽しい。

 いや、違うかな。誰かといると、私は楽しくない。

 

 一人が好きだから一人でいるのか、誰かと一緒だと居心地が悪いから一人でいるのか。もしくはどちらもなのか。とにかく、私はいつも一人だなぁと思う。

  今日の気持ちはきっと前者に近い。一人が好きだから私は一人でいる。

 だけど、嫌なことがあったりして落ち込んでいたりすると、気持ちは一転、後者に傾く。誰かと一緒にいるの嫌だ。そんな私なんて…メソメソ。本当はみんなとたくさんお話したいのに、それができない自分を蔑み、周りを恨むのだった。

 

 でも、まあいいや。

 今日の私は一人でいることが心地よく、私はそれを味わっている。今日の散歩は楽しかった。ぼんやりとただ歩くだけ。急ぐ必要もなく、時間がなんとなく過ぎる。贅沢な時間の使い方だと思った。

 

 

 焼き肉

 熱くなった鉄板を囲み、めいめいが食べたいものをつっついていく。

 焼き肉を久しぶりに食べた。でも、私はふてくされてしまった。焼き肉に罪はないだろうに。

 

 気に入らない話は聞きたくない、と思ってしまう、なんとも殻に閉じこもった私なのか。

 ひとたび「気に入らない」と思ってしまうと、もうその人のことは気に入らなくなってしまうのだった。普段はそこまでにならないよう、あえて意識を集中させず、右から左へ聞き流すようにしているのだけど、今日はもうダメだ。

 

 鉄板を囲みながら、とりとめもない会話が続いていく。誰も気にしちゃいないのに、私は妙にこだわる。こだわって、ムキになって、つい強い口調で心にもないことを言うのだ。そしてそういうときは決まって必ず後悔する。案の定後悔した。

 相手を傷つけようと、あるいは、とにかくこの場所に冷水をぶっかけてやりたい、そんな一心で、確信犯的に言葉を吐く。場が凍り付いたその瞬間だけ、実は少し爽快な気分だったりして。それはすぐに自己嫌悪へと変わるのだけどね。

 

 ああ、あんなこと言わなきゃよかったな。馬鹿みたいだ。意地張ってもロクなことにならないよな、わかりきっていることなのに。そうやって私はいつもくよくよするのだった。この自己反省の時間、本当に嫌だ。

 

 こうして、「言わなきゃよかったのに」という思いをするたびに、「私、もう無口になりたい。一生喋りたくない」ってことと「感情を麻痺させたい」と思うのだ。

 もう必要なとき以外喋らないようにしよう。そうすれば相手を傷つけるようなことは言わないし、自分も傷つかなくて済むじゃないか。感情を麻痺させれば、こんな痛みなど抱かず、ずっとニコニコしていられるのではないか。そう思うのだった。

 

 売り言葉に買い言葉。もうこんな思いをするのは嫌だから。私はどんな時も冷静に誰かの前に立っていたい。そんな毅然とした強さを持ちたい。焼き肉を食べながら、そんなことを考えていた。そんなことを考えているから、肉のおいしさなんて思いだせるわけがなかった。