ベランダの実験室

思考の記録です。

20161121 形容詞が出てこない

 形容詞が出てこない。

 今日やっとこの言葉が出てきた。それまでは別の言葉で表現していたけど、今日からこれに変えよう。「形容詞」が出てこないのだ。

 

 最初に気がついたきっかけは「色紙」だった。

 今でこそないけれど、かつて私は色んな人と関わりながら生きていた。スポーツクラブに通っていた。部活動もしていた。サークルのようなこともしていた。そういうコミュニティから「卒業」するとき、よく色紙を送ることはなかろうか?私も幾度となく色紙に文字を書き、誰かに言葉をあげた。で、私はその「色紙」というものがあんまり得意ではなかった。もちろん文章を書くことはできる。結局は誰よりもだらだらと長い文をしたため、私の場所だけ細かい文字がずらずら並んでいる状態になるのだけど、それでも私は「色紙」が得意じゃなかった。

 

 書けないのだ。

 

 その人を知っている。その人と私のエピソードは確かにある。思いだすことができる。だけど、私は書くことができない。その人になんと言葉を書けばいいかわからない。どういう言葉を書きたいのかわからない。

 

 結局具体的なエピソードから導き出せる、その人の良いところとかをなんとか書く。まあ今後のささやかな支えにでもなればよかろうと思って、少しでも良いことを書こうと思う。しかし、書き終わった後の虚脱感たるや。嘘はついていないはずなのに、なぜこうも疲れるのか、悲しくなる。

 

 

 そしてそういうことがあってから、私はあることを考えるようになった。そういえば私は誰かを褒めることができない。同時に誰かの悪口もあまり言わない。私は人間の特徴を言葉にすることが、難しいのではないのか?と。

 例えば私は同性の女の人に対して「○○ちゃんかわいい~」「○○さんキレイ」とは絶対言わない。それは私がとびっきりの美人であるからじゃない。私は一般的にも「かわいい」と評価をいただける容姿の人間ではない。「かわいい」という言葉が出てこないのだ。なんだかわいいって。私からしてみれば周りの人はみんなそれなりに「その人」で、それ以上も以下もないじゃないか、なんだかわいいって。そんなもの必要なのか?とか思ったりする。みんなその顔でいいじゃないか、顔を変えることはできないんだし(整形はできるけど、そういうことを言いたいのではない)私はそのまんまのその人が好きだと思うけどな、といつも思う。誰だよかわいいって基準を持ちだした奴は、とかこういうときに思ったりもする。

 

 例えば、私がこの世の中で今のところ一番執着している人間についても挙げてみよう。ここで挙げた「執着している」というのは、「恋心」とは違うような気がするのだが、まあそれは置いておこう。

 「彼」と呼ぶことにして、私は「彼」について上手く説明することができない。特徴は確かにある。身長とかスペックとか、そういうものは挙げることができるけれど、それは数値的なものであり能力的なものだ。それ以外に私は彼について何も言うことができない。

 優しい。違う。ひねくれている。確かにそうかもしれないがじゃあ何にひねくれている?退廃的。頭のねじがぶっ飛んでいるとは思うけれど、具体的にどんなことを差してぶっ飛んでいると言えるのだろう?私は彼についてどこまで理解をしているのだろう?確かなことは、数年だけ言葉を交わし最近も飲みにいって3時間くらいロクでもない話をしただけだ。何もわかっちゃいない。

 

 私は身の周りの人がどんな人なのか、さっぱり話すことができない。自分の家族でさえ。何も。その人について話す「形容詞が出てこない」のだ。

 

 優しいね。かわいいね。かっこいいね。いじわるだね。怠け者だね。明るいね。根暗だね。活発的だね。頭がいいね。馬鹿だね。毒舌だね。

 いくら言葉を重ねても、まるでその人を表現できる気がしない。

 空しいと思った。くだらないと思った。

 

 

 わかっていることが全然なくて、ああ、誰かに会いたいなぁとふと思った。私はこんなことを考えているの、と吐き出してしまえればいいのに。でも誰もこんなことに興味はないと思ってしまうのだ。教えてほしい。「正しさ」なんていらないから、私が思ったことに対してあなたがどんなことを感じているのか、教えてほしい。

 

 私がずっと求めていたことは、これだったのかな。