読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

祝福の日々

私-好きなこと=ブログ、です。

20160824 「ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」#7の覚え書き

ドラマ

 私は、愛でることと指摘することはセットで考えています。私という人間がそういう人物だからなのですが、存在を否定することで生まれる何かなどないと思っています。まずは敬意を払うこと。そこから始まります。

 欠点などをあげつらってそれで何かの上に立とうとするならば、そこからは何も生まれない。というか何かが欠けていないものなどありえないのだから仕方がない。ということで、私はいろんなものを愛でることができる人間になりたいと思ってます。

 

 さて。ドラマONも物語は最終章へと突入しそうな勢いです。実は自分でテンションを維持しているような節はあるけれど、実際このドラマはとても面白いです。再三言っていることではありますが。面白いのは色々と考える題材がちりばめられているからです。その題材が私好みだからです。

 刑事ドラマを期待したら多分物足りないドラマなんだと思います。真相に至る過程はやっぱり偶然の産物だし飛躍しているもので、登場人物たちの行動も常識的に考えると「ありえない」ことばかりです。警察として統率がとれなさすぎ。でも、そんなことどうでもいいんです。だって、ドラマなんだもの。そこにはある種の秩序がありそれはドラマの世界だけのもの。ハリーポッターの「魔法」という基本設定を「それはありえないよ」なんて言っても話が始まらないじゃないですか。誰もが世界のルールを了承した上で、その世界を楽しんでいる。フィクションというものに対して楽しむなら我々は「ルール」に従うほかないのです。従ったうえで考えて行った方が生産的じゃありません?わかんないけど。

 

 例のごとく気になるところを挙げてみます。私はこの7話、AID事件を「東海林」という人間の話だと認識しています。東海林先輩はほとんど事件に関わっていません。今までで一番関わっていないかも。だけど、これは東海林先輩の話なんだと思っています。あとは三木さんの話だよな。これができたのは、積み重ねがあったからだよな~泣ける、と別の意味でじんわりきている私でありました。

 それではいってみましょう。

 AID事件

 今回の事件は、端的に言うと「自殺を志願しているものに毒薬を送って自殺を幇助しているやつがいるぞ!」という話です。幇助している奴は誰なのか。それはどういう目的があってやっていることなのか。それが鍵になります。

 捜査していく過程で、あるサイトに行きつきます。そのサイトを運営しているものが犯人なんですけど、面白いことにそのサイトは「自殺を勧める自殺サイト」じゃなくて、まるっきり正反対の「自殺するのを助けようとするサイト」ってことです。これが今までとはちょっと違う面白いところ。そこで説得に応じない、頑固な志願者を最終的に殺しちゃうのが犯人なのですが、そこに至る過程、ね。興味深い。

 

自ら死ぬことは許されないのか

 そもそも犯人である交番のおまわりさん(以下原島さん)は、実の子どもを飛びおり自殺をした人に巻き込まれて亡くした「被害者」であり、妻も後追いで自殺してしまった悲しい過去を持つ人物です。それ故に、自ら死のうとする人を嫌悪している。許せない。

 でもさ、その「許せない」ってのは自殺そのものに対するものじゃないような気がしています。つまり、彼の子どもが自殺に巻き込まれなかったら?彼はここまで「自殺」を憎むようになったでしょうか。「自殺」そのものに対するもっと哲学的・本質的な問いかけではないように思います。どちらかというと、「自殺」という殺人に対しての怒りなのかな、と。そこが出発点で、さらに「生きたくても生きられない人がいるのに死んでしまう人たち」みたいな要素がプラスされていくのかな?と。

 ここでは死に急ぐ人たちの心情は完全に削られています。そこが論点じゃないからね。だからまぁ、色んな人たちが亡くなっちゃいました。AIDという毒薬で死んだとわかっているのが5人、そのあとわかった人を含めると7人、殺しちゃっているんですよ、犯人は。だけど、自分から死んでしまうことは許されるのか?ということを徹底的に問う内容ではありませんでした。故に答えは出ません。

 ま、作中でもありますが、これは自分に対する殺人なわけであります。自殺というものは。そう考えると、他の殺人のようにそこに至る「過程」が絶対あるはずです。そこをないがしろにしてはいけません。つまりその人だけの問題ではなく、周囲の環境やら社会情勢やらそれらも含めて、彼ら彼女らを犯罪(この場合は自分で自分を殺す)に向かわせたってことにもなるのか、と。

 

手段の話

 前回の事件に引き続き、案外「手段」というものが重要だと思われます。

 リッチマン殺人においては、フォアグラ機械を生み出したことも事件に至らしめるきっかけになりました。今回明らかになった、元々殺人に興味があった藤堂比奈子の衝動をさらに増幅させることになったのも、何者かから渡された「ナイフ」でした。AIDによる自殺者もどれくらいが原島さんに脅されて強制的に飲まされたのかわかりませんが、自殺を決意する最後の後押しは「楽に死ねる薬」であったのは、言うまでもありません。

 人が犯罪を侵すとき、特に誰かを殺めようと思ったとき、その最後に背中を押すものがあってそれがなければ何も起きなかったかもしれない、というのはあるかもね。

 

今回の倉島さんと清水さん&三木さん

 なんといっても、今日のハイライトは倉島さん×清水さんのバイクシーンでしょ?ここに来て倉島さんがバイク好きという設定を活かしているあたり、ね。クスって笑っちゃう。要さんが仮面ライダー俳優ですもんね。それもあるのかなぁ・・・。

 三木さん(ジャンポケ齋藤さん)救出シーンはなかなか好きなシーンでした。AID信者たちを逆なでするようなことを言っていたらとうとう捕まってしまった三木さん(もちろん捜査で潜入していてだけど)。真夏にコンテナに閉じ込められる、という緊迫したシーン。一刻も争う中で、厚田班と一緒に行動してくれる片岡班の面々も総動員で探す様子は、三木さんの日頃の人望ぶりをうかがわせるものでした。それよりは、誰か藤堂についていてやれよ!案の定一人で暴走したろうが!って話ですが、まあいいや(笑)

 

 三木さんは生粋の変人って設定ぽくオタク感が出ていて語尾は「~ですな」という面白い役なのですが、これってドラマ『相棒』の米沢さんを意識しているのかなと家では話題です。米沢さんはああ見えて(?)神経質なところもあるけれど、三木さんは懐広い感じがありますよね~。どっしり構えているような。良い役だなと思います。

 

今回の藤堂さん×中島先生

 第6話のリッチマン殺人事件の話のときに、どうして中島先生は死なないのかな?って疑問に思っていたのですが、それはわかりました。藤堂さんのためでした。中島先生は藤堂さんの事情を知ってしまった以上、そして「人間として」彼女に興味を抱いている以上、彼女をどうにかしたい、彼女をもっと知りたい、ということが彼が生きている理由の1つのようですね。

 第5話で決定的な事件が起こる前は、どちらかというと2人の関係性は

藤堂さん→→→→→→→→→→→→→→→→○←←←←←←←←←中島先生

だと私は思っていました。藤堂さんは自分が何者か知りたい。母親以外に本当の自分を知ってくれている人(知っていてもいい人)を持たない藤堂さんにとって、中島先生は非常に強烈な人間だったと思うのです。一緒に話していて心地よいはずだ。どちらかというと藤堂さんの方が積極的に彼との話をしているような気がしていました。

 

 ですが、ちょっとここに来て変わってきました。

藤堂さん→→→→→→→→→→○←←←←←←←←←←←←←←←←中島先生

になってきたのかな、と。私が興味深いと思ったのは藤堂さんが自身の内面にある精神世界で母親と対話しているシーンに言い放った言葉。

 「それにあの人だって人殺しだったもの」

 これが予想以上に冷めていて、ひやりとしました私。

 失望というのか期待を裏切られたという激情が込められているわけでもなく、どちらかというと「ああ、またか」みたいな乾いた失望がそこにはあるように思いました。中島先生と直に顔を合わせているときは以前と同じように話していましたけど、今回の話では中島先生から藤堂にどんどん訪ねていく、それを藤堂が答えていく、という感じだったので藤堂からの細かな心情の機微は私はよくわかりませんでした。

 一方の中島先生は、今は藤堂さんについて知りたい!ってのが強くあると思うのでどんどん聞いちゃうんですよね。ああ、中島先生の話はやらないのかぁ~もう。もっと彼のことを知りたいよう・・・><と嘆く私。スポットライトは完全に彼から藤堂へと移っていきました。

 

今回の東海林さん

 できることなら、東海林さんの話をもう1話挟んでほしかった!!!!が私の正直な感想です。

 

 第7話は、東海林の話だと思っています。東海林先輩は内勤に回されてしまったのでそんなに出てこないんですけど。

 交番のおまわり原島さんは東海林さんが駆け出しの頃お世話になった先輩でした。原島さんが直々に言っていたけれど、東海林さんは彼の後継者的な存在でした。そこがとても大きなポイントでした。結局この2人は互いに違う道を歩む、というオチになるようですけども本当にそうなのかぁ~と思わざるをえません。東海林先輩危なっかしい人ですから。

 もう1話やってほしい、というのは東海林がまだ不安定なキャラ、って感じがしているからかもしれません。

 

 原島さんと東海林さんは共通点があります。2人とも刑事で、自分の愛する存在を暴力的に奪われた人です。故に異常なまでの正義感を持っています。本来なら事件の被害者の遺族は正義感というよりは絶望だったり復讐心だったりを抱くと思うのですが、2人は不幸にも刑事です。事件で遺族にも接する機会があるかもしれません。絶望しても仕方のないことを知っている。復讐に駆られて己の人生を無駄にする人たちも見ているのかもしれません。一方、彼らは仕事として公然と悪を取り締まれる権限を持っています。この権限というのも、きっと「手段」なのでしょうね。彼らは正義の名の下に悪を取り締まることが許されてしまった。殺人ではないのかもしれないけれど、一歩間違えればその境界を容易く超えてしまえる、とても不安定な位置に立たされている2人です。

 結果的に原島さんは境界を超えて、東海林は「俺はそうはならない!」と宣言しました。だけど、その宣言本当に信じられるのかな。東海林さん自身、全然整理がついていないような気がするんですよね。むしろどんどん危なくなっているような。

 私は東海林さんの話はもう終わりだと思っています(その通りかどうかはわからない)。今度は藤堂さんと東海林さんの話になります。藤堂さんという、東海林さんとは全く違った不安定さを持つ人物が目の前にいることで、多分東海林さんは安定すると思います。それが第7話のラスト。藤堂さんと東海林さんが目を合わせ火花バチバチのシーンです(←過剰な表現)。東海林さんにとっては藤堂さんは「悪」なのでしょうか。でもさ、考えてみればそんなに藤堂さんってヤバい奴なのかな?って思っちゃうんですよね。これだけ藤堂さんの情報が提示されちゃうと。情が沸くし。うーん・・・と釈然としない感じがしています。やっぱり私の中では東海林さんの分が悪い。東海林さんの話、欲しい。東海林先輩が全然つながらない。まあ、それも面白いけど。

 

犯罪者の演技が素敵なドラマ

 ONは犯罪者の歪んだ狂気のようなものを表現しないといけないドラマなので、犯罪者の皆様の演技がまぁすごいこと。今回の原島さんもとっても素敵でした。「純朴な町のおまわりさん」から「己の正義感が肥大し歪み人を憎む殺戮者」への変貌。すごかったあ~。藤堂を殺そうとしちゃうところなんて、完全に警察官ではなかったよね。いや、ほんと素敵です。ひりひりしました。

 

物語を彩る音

 私、このドラマのサントラがとっても欲しいです!一話目で確信しましたが、私はこのドラマの音楽がとても好きです。

 面白いことに、このドラマ、シーンと同じくらい音楽の印象が強いドラマでして。メロディを思いだせるという印象の深さではなく、観終わった後に「うわ~音楽凄かったな~」って思っちゃうドラマ。多分音楽も意識しているのだろうな、という印象。

 菅野さんはフジテレビのドラマ『SP』の音楽も確か手掛けていて、あれも強烈だったわ~。なるほどね、と。サントラ出たら買います。

 

まとめ

 ということで、いよいよ最終章なのでしょうね。あと2話くらいでしょうか。この疾走感は確かに2クールあったら間延びすると思うのでこれくらいがいいのでしょうが、とてもとても寂しいです。何より語られていないことたくさんありますもん。厚田班の面々一人ずつエピソード出してほしいわ~><ドラマをずっと維持することは大変だろうなと思いつつ、最後までぜひ駆け抜けていく作品であってほしいです。楽しみ!